基礎年金の「税方式」って何?
2008年08月22日
経団連は5月14日、基礎年金を社会保険方式から全額を消費税でまかなう「全額税方
式」への移行を柱とする社会保障改革に関する提言の中間取りまとめを発表しました。
今年の秋にも具体的な消費税率などを盛り込んだ最終提言をまとめる方針とのことです。
この提言の中で、少子高齢化や年金未納問題で現行の社会保障制度が危機的状況にある
と指摘し、「基礎年金の税方式化は有力な選択肢」として、社会保障制度の抜本改革を
訴えています。今年の秋には、間違いなく消費税増税の議論がでてきますが、その議論
をするにあたり、消費税で社会保障費を賄う方向の明確化を求めたものです。
経団連は、少子高齢化の進展や制度への不信の高まりなどから、現行の世代間扶養のシ
ステムを持続いていくことは難しいと指摘しています。そこで基礎年金の全額税方式へ
の移行を提言しているわけですが、この「税方式」っていったいどんなものなのでしょ
うか。
現在、私たちの基礎年金(国民年金)は、財源の約3分の2が私たちの支払った保険料、
残る約3分の1が税でまかなわれています(平成21年度、つまり来年度から、税の部分が
3分の1から2分の1に引き上げられます)。このように、保険料を徴収する現行の方式を
「社会保険方式」と呼んでいます。
これに対して「税方式」とは、税の割合を100%にして、基礎年金分の保険料を徴収し
ない方式のことです。ちなみに、カナダやニュージーランドなどが公的年金に税方式を
採用しています。
税方式にはいくつかのメリットがあります。
現在の基礎年金は、職業によって保険料が異なっています。自営業者などの保険料は所
得にかかわりなく一律月14,410円なのに対し、サラリーマンは年収の14.996%(本人と
勤務先で2分の1ずつ負担しています)の厚生年金保険料の中から、約5%分が基礎年金
に回されています。税方式にすればこのような職業に基づく不公平がなくなります。
また、税法式にすれば、自営業者のうちの40%近くが保険料を払っていない問題も解決
します。
現行制度では、サラリーマンの妻が専業主婦の場合には、保険料を納めなくても老後に
基礎年金を受け取ることができます。これに対して働いている女性は保険料を納めてい
ます。税法式になればこのような不公平もなくなります。
そして最大のメリットは、要らない役所No.1の社会保険庁も、保険料を徴収する必
要がなくなるので、解体することができるのです。
これに対してデメリットは、税方式の財源を消費税にすれば、高齢者も負担することに
なることです。
来年度からは、税の部分が3分の1から2分の1に引き上げられますが、この部分の財源を
確保できるめどがまだ立っていません。ということは、必然的に消費税を増税し、その
増税分でまかなおうという議論が、秋には間違いなく出てきます。
私たちは、この引き上げ分についてのみ消費税の増税を認めるのか、あるいは他の税に
より引き上げ分をまかなうのか、はたまた税方式に移行して、基礎年金の全額を消費税
でまかなうのかの選択をしなければなりません。
この秋は、基礎年金と消費税で国会が揺れそうです。
(6/10 会員制CDセミナー では
「税方式」に対する厚生労働省の笑える反論!?)
ミャンマーってどんな国?
2008年08月08日
5月2日夜から3日にかけて、ミャンマーの最大の都市ヤンゴンなどを大型のサイクロンが
直撃し、死者2万人以上、行方不明者4万人以上の被害を受けました。
(5月6日、ミャンマー国営テレビの発表による)
被害状況がまだ十分に把握されていない地域もあり、被災数はさらに増える
見通しのようです。このミャンマーですが、日本ではあまり知られていない国ですよね。
今回はこのミャンマーにスポットを当ててみましょう。
ミャンマーの公式の英語表記は、
Union of Myanmar(ユニオン・オブ・ミャンマー)、
日本語表記ではミャンマー連邦です。
このミャンマー、1988年まではビルマと呼ばれていました。「ビルマの竪琴」で
おなじみのビルマです。
ミャンマーは、イギリスの植民地だったのですが、1948年にビルマ連邦として
独立しました。独立当初から政権は不安定な状態にあり、国軍が徐々に力を
つけていきました。そして国軍のネ・ウィン将軍が1962年に軍事クーデターを起こし、
1988年まで軍事独裁体制を維持していました。
なお、この軍事クーデター以来、憲法と議会は廃止され、その状態が
今まで続いています。
しかし経済政策の失敗から深刻なインフレを招いてしまい、1988年に
ネ・ウィン将軍退陣と民主化を求める大衆運動が高揚してきたので、
ネ・ウィン将軍は7月に退陣しました。
そして9月18日に軍部がクーデターにより政権を掌握し、今まで軍部による政権
が続いています。国名がビルマからミャンマーに変わったのはこの軍事政権時代です。
1989年6月18日に軍事政権は、国名の英語表記を、
Union of Burma(ユニオン・オブ・バーマ)から、
Union of Myanmar(ユニオン・オブ・ミャンマー)に改称しました。
また都市の名前や川の名前もこのころに変えています。
例えば、旧首都でミャンマー最大の都市のラングーン(Rangoon)は
ヤンゴン(Yangon)に、昔地理で習ったイラワジ川
(Irrawaddy River)はエーヤワディー川(AyeyarwadyRiver)
に変わりました。
実はビルマ語では「ミャンマー」も、英語のBurma(バーマ)の由来となった
「バマー」も同じ意味の言葉であり、前者が文語的、後者が口語的に使用されることが
多いという違いがあるだけで、国民は特に意識することなく併用しているのです。
たとえて言うなら、「日本」を「にっぽん」と言ったり「にほん」と言ったりするような
ものなのです。
だから国名が変わったと聞くと、「えっ、国の名前って簡単に変えていいの??」
って私たちは考えてしまいますが、ミャンマーの人たちにとっては、わりと違和感の
ないことだったのですね。
軍事政権は1994年以降新憲法を制定するために、新憲法の基本原則を審議する国民会議を
断続的に開催してきました。この国民会議は2007年9月に終結し、新憲法案の賛否を問う
国民投票がこの5月10日に行われる予定でした。
今回の大型のサイクロンの被害により、被害の大きかったヤンゴンなどの一部だけは
5月24日に延期されますが、それ以外のほとんどの地域では予定通り行われる予定です。
ミャンマーは軍事政権であったので、これまで先進主要国が経済援助を凍結し、事実上の
鎖国の状態にありました。
また、2007年9月18日には大規模な反政府デモが行われ、これに対し軍事政権は武力による
弾圧を行いました。
このときに、日本人ジャーナリストの長井健司さんが銃弾で亡くなられたことは
私たちの記憶に残っているところです。
このようにミャンマーは私たち日本人にとって、遠くにある非民主国家、よく知らない
縁の遠い国、こんなイメージではなかったでしょうか。
実はミャンマーは、かつては東南アジア有数の大国であり、イギリスの植民地時代には
東南アジアで最も豊かな地域のひとつでした。
コメの世界最大輸出国であり、チークなど木材をはじめ天然資源が豊富で、石油生産や輸出も
盛んに行われていたのです。
また、地政学的にも中国とインドの間の回廊部分にあり、インド洋にも面している非常に
重要な国なのです。
私、山本は、現在のミャンマーは、軍事国家から民主国家に移行する過渡期にあり、
政治の安定の面からも、経済の面からも、もっともっと注目していかなければならないと
考えています。みなさんももっとミャンマーに関心を持ってくださいね。
ゴールデンウィークは、税金について考えよう!
2008年08月08日
ガソリン税の暫定税率を元に戻す改正租税特別措置法などが4月30日再可決し、
成立しました。今回の混乱、われわれ国民にとっては、ガソリン代が
下がったり上がったりと迷惑以外のナニモノでもなかったわけですが、
税金のことを考えるきっかけになったという意味ではよかったのかなとも
思います。
特にサラリーマンの人にとっての税金は、毎月給料から天引きをされて年
末調整で精算されて、ハイおしまい!ってカンジなので、ほとんど関心を
持つことなく過ごしている人が多いのではないでしょうか。
ということで今回は、サラリーマンの税金について、その歴史的背景を
見ていきましょう。
サラリーマンが給料から天引きされている税金を源泉所得税といい、
給料から天引きする制度を源泉徴収制度といいます。
この源泉徴収制度は外国にもありますが、サラリーマンは年末調整で
税金の課税関係を完結させて、確定申告をしなくてよい!というのは
日本だけの制度なのです。
(私、山本も世界中すべての国の税制を知っているわけではないのですが、
少なくとも主要国の中では日本だけの制度なのです。)
それではこの源泉徴収制度がいつできたかを見ていきましょう。
日本に近代的な税制が誕生したのは1887年(明治20年)のことです。
このとき初めて所得税ができました。それまでは、土地や家屋に対して
課税する地租税や家屋税が税制の中心だったのです。
(学校で“地租改革”とか習いましたよね。)
ちなみにこの所得税、最初のころは高額所得者のみを対象とした
富裕税のようなものであり、対象者は日本中でわずか12万人、最高税率も
たったの3%でした。
そして1899年(明治32年)に源泉徴収制度が生まれました。
しかしこのときは、給料は源泉徴収の対象となっていなくて、
預金の利息だけ対象だったのです。
給料が源泉徴収の対象になったのは1940年(昭和15年)のことです。
これは、日中戦争の戦費を調達する目的で戦時増税として創られた
制度だったのです。
この制度は、ナチス・ドイツの影響を大きく受けて創られました。
だからサラリーマンの人におなじみの給料の源泉徴収は、戦費調達の
ための時限立法であり、戦争が終わったら本当はやめなければいけない、
今回のガソリン税と同様の“暫定的な”制度だったのです。
ちなみに制度がスタートした当初は中堅以上のサラリーマンが対象で、
対象者も日本中で400万人程度でしたが、対象となるサラリーマンが徐々に
拡大し、戦争末期の1944年(昭和19年)には、新人サラリーマン以外の
ほとんどのサラリーマンが対象になり、対象者も1,200万人を超えるほどに
なりました。
その後日本は戦争に負けて終戦を迎えました。本来であればもう戦争は
しないのだから戦時増税は廃止にしなければいけないですよね。
ところが大蔵省はせっかく手に入れた“確実に税金を払ってもらえるシステム”
を手放しませんでした。
それどころか1947年(昭和22年)に、確定申告をせずに源泉徴収だけで
課税関係が完結する画期的なシステムを発明しました。
それが世界でも例を見ない「年末調整制度」だったのです。
年末調整制度は、サラリーマンから確実に税金を徴収するための
システムとしてフル稼働しました。それでもこの制度の導入当初は、
サラリーマンに確定申告をする道が残されていました。
初期のころは“生命保険料控除”や“地震保険料控除”などは確定申告を
しなければならなかったのですが、その後年末調整でできるようになり、
確定申告をするサラリーマンはほとんどいなくなりました。
このような歴史を経て、サラリーマンは確定申告と縁がなくなり、
いつのころからか税金についてはまったく無関心の、国家からすればきわめて
優秀な“納税マシーン”になってしまったのです。
税金を払っているという意識がなくなると、どう使われているかにも
関心がなくなってきます。
今回の暫定税率のような問題が起こると、そのときだけは税金に関心を
持ちますが、少したつと再び関心がなくなります。
私、山本は、サラリーマンも、自分の年収だけでなく自分の納税額も
すぐに言えるようであって欲しいと思っています。
後期高齢者医療制度が始まった!?
2008年05月14日
75歳以上の人を対象とした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、
保険料を年金から天引きする特別徴収が4月15日に始まりました。
ところでこの後期高齢者医療制度ってどんな制度なんでしょうか。
今回はその仕組みを見ていきましょう。
後期高齢者医療制度とは、75歳以上の高齢者等を対象とする、他の健康保険とは
独立した医療保険制度で、2008年4月1日から始まりました。
これまで、高齢者の医療については、老人保健法による老人医療制度として
実施されてきました。
老人医療制度は、国、都道府県、市町村や健康保険等
(政府管掌保険、共済組合、健康保険組合、国民健康保険等)の負担によって
運営されていました。
簡単に言うと、これまでは高齢者の人はすべて国民健康保険などのメンバーとして
老人医療を受けていた、ということなのです。
(だからこれまでは、国民健康保険などの被保険者証と老人医療受給者証の
2枚の保険証がありました。)
ところが高齢化の進展等によって、国民健康保険等の財政負担が重くなってきたので、
切り離して別個の制度にしよう!ということで、
今回の後期高齢者医療制度が創られた、というわけなのです。
この後期高齢者医療制度、支払う保険料はこれまでの国民健康保険と
比べると平均的には安くなり、医療機関に支払う窓口負担はこれまでどおり
1割負担なので、新たに負担を強いるものではないと厚生労働省は主張していますが
実態はというと・・・
これまでの老人医療では、家族に扶養されていた人は保険料を支払う必要が
なかったのですが、これからは別個の医療保険制度に移行するので、
新たな保険料負担が発生するのです。
このように新たな負担の発生する可能性のある後期高齢者医療制度の保険料は、
年金からの天引きによって徴収されます。
消えた年金問題が解決されていないのに、新たに負担が発生するというこの制度、
これからの選挙で一番の争点になっていくのではないでしょうか。
私たちにとって本当に目の離せない制度なのです。
今度はエネルギーへの外資参入!?
2008年04月27日
以前政治ニュースで空港に対する外資規制の話をしましたが、今度はJパワーを
めぐって外資と経済産業省との間でバトルが勃発しました。
何が起こっているのか、ここまでの経緯を見てみましょう。
電源開発(通称“Jパワー”)は1952年に全国的な電力不足を克服するために
設立された政府出資会社です。
全国59ヵ所に水力発電設備を持ち、日本列島四島(北海道、本州、四国、九州)を
結ぶ基幹送電網を唯一持つ会社で、現在青森県大間町に原子力発電所の設置を
計画しています。
いってみれば、わが国のエネルギー政策をしていくうえでの“実行部隊”
といった会社なのですね。
この“国策会社”が小泉規制改革の流れを受けて民営化し、2004年10月に
東証1部に上場しました。すると、Jパワーに目をつけた英国系投資ファンド、
ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンド(TCI)が
株式を保有するようになりました。
現在までに9.9%を保有しているのですが、今回出資比率を20%に
引き上げたいとして、経済産業省に1月15日に事前届出をしてきたのです。
これに対して、経済産業省は、電力の安定供給や国の安全保障に
影響がでるのを危惧して、「絶対はんた~い!」、というのが
これまでの経緯なのです。
4月11日に、TCIの株買い増しを審議するために「関税・外国為替等審議会」の
外資特別部会の初会合が開かれました。
外資の国内投資規制を巡り、個別の案件が審議されるのは初めてのことです。
経済産業省は、電力の安定供給や国の安全保障への影響を錦の御旗に、
“絶対反対!”“徹底抗戦”のようですが、さて結末はどうなるのでしょうか。
今回のJパワーといい、先月の空港ビルといい、これから国家の安全分野に
対する外資参入は何度も出てくるでしょう。
これは、外資参入による経済の活性化と国家の安全保障という、重要な、
そして相容れない論点であるので、われわれ自身もしっかりと考え、そ
して政府の対応を見ていきたいですね。
オリンピックの経済効果って何だ!?
2008年04月19日
オリンピックとかワールドカップとか大きなイベントがあると、必ずニュースに登場するのが「経済効果」の四文字ですね。数百億円、何千億円という数字を見ると、景気がよくなりそうでわくわくしてきます。
しかし、実際のところ事前に発表される経済効果は非常に適当な数字なのです。さらに、多くの人が誤解していますが、経済効果とは、決して空から降ってくるお金ではないのです。
2016年に東京オリンピックを開催しよう!と東京都が招致に力を入れていますが、東京でオリンピックが開催されたと仮定して、経済効果を考えてみましょう。
例えば、お饅頭屋さんが“五輪饅頭”を1箱1,000円で売り出したとします。
この五輪饅頭が1万箱売れると予測されたときに、1,000万円(=1,000円×1万箱)が経済効果になるのはもちろんですが、餡の材料になる小豆や砂糖の仕入代金も経済効果の中に含まれてきます。五輪饅頭1箱を作るために仕入れる小豆代が100円、砂糖代が50円とすると、100円×1万箱+50円×1万箱=150万円も経済効果に含まるので、経済効果は1,150万円(=1,000万円+100万円+50万円)ということになるのです。
また、オリンピックのチケット代も当然のように経済効果の一部となるのですが、そのチケットの印刷代にインク代、さらに印刷所で働く従業員の給料までもが経済効果になるのです。
ここで次のような疑問がわいてきます。もしオリンピックが開催されなかったら、お饅頭屋さんは五輪饅頭の代わりに別の饅頭を企画して販売しますよね。
五輪饅頭ほどではないにしてもそこそこ売れるはずでは・・・
オリンピックを観戦しに来た外国人がお土産として買う分だけが通常の売上よりも多いのでは・・・
そうなのです。
東京オリンピックを例に取るなら、経済効果とは、「経済活動全体のうち、オリンピックの影響を受ける規模」のことなのです。
ここで大切なのは、「お金がどれだけ動くか」であって、「新たに富が生まれる」わけではなく、「経済活動全体」そのものはほとんど変わらないということです。
もちろん、一時的な消費拡大効果はあるでしょう。
ひょっとしたら使う予定のなかったお金がオリンピックのおかげで出回るようになれば、それこそが経済の原動力です。むしろその効果に期待したいと思います。
しかし、経済効果の数字そのものにはまるで実質的な意味がなく、いってみれば、景気づけのために発表される数字にすぎなかったのです。
不幸の星の下に生まれた新銀行東京!?
2008年04月11日
東京都の銀行と呼ばれている「新銀行東京」が経営危機に陥っています。
累積赤字が3月末には1,016億円になる見通し(東京都発表)とのこと。
資本金を食いつぶしちゃったわけですね。
これでは、いつ潰れてもおかしくないのです。
新銀行東京の株式のうち84.22%は東京都が所有しており、代表執行役の
津島隆一氏は東京都の港湾局長をしていた人ですので、
石原都知事が新銀行東京の“事実上のトップ”といえるのです。
その石原都知事は、新銀行東京を潰すのではなく、救済する道を選択しました。
そこで、彼は東京都議会に対し、400億円を追加出資するように求めました。
「潰すとなると、さらに多額の財政負担が必要になるから・・・」
というのが理由のようです。
東京都はこれまでに1,000億円を出資しました。そしてこの1,000億円の
出資のうち700億円は都債でまかなったのですが、その都債の利息が
100億円になるとのこと。
ということは、今回の追加出資案が都議会で可決されれば、
合わせて1,500億円を東京都が負担することになるのです。
実は、この新銀行東京、経営コンサルタントの大前研一氏が
石原都知事に設立を提案したことから始まったようです。
「都市銀行に預けておいても、潰れたら1,000万円しか保証してくれないんだよ~
東京都で銀行を作って、そこに預けたほうが安全じゃない~」
みたいなことを提案したそうです。
これは2001年8月27日のことなのですが、当時は、日経平均株価が終値で
1万円を割る(2001年9月12日)わ、大手都銀への資本再注入が議論されるわ、
金融不安真っ盛りの時代だったから、この提案も当然だったのですね。
ところがこの新銀行設立構想、途中から石原都知事の意向で趣旨が
変わってしまいました。
“中小企業とベンチャーの支援”を目的にしてしまったのです。
でもこの中小企業やベンチャー企業への融資の審査って、
とっても難しいんですよね。
お役所主導の銀行が行うには、とっても難易度が高いのですが・・・
だから、新銀行東京は生まれた瞬間から、大変な人生を歩むことが
約束されていたのです。
密接すぎる国、中国
2008年04月04日
1月30日、中国産ギョーザで食中毒症状が起きたためジェイティフーズが
商品を自主回収してから1ヵ月半がたちました。
2月21日に警察庁の吉村長官が、中毒の原因となった有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が
「日本国内で混入した可能性は低いと考えている。」と述べたのに対して、
2月28日に中国公安省は、「殺虫剤の投入が中国国内で発生した可能性は極めて小さい。」
と反論しました。
今回のこの事件、真相はまだわかりません。
ただ、一般的に言われているのが、「北京オリンピックのためにも、
早急に幕引きしたいんでしょ。それも、自分に非のない形で・・・」
日本は、今中国との関係が非常に深くなっています。
輸入のいう点からは、問題になっている食品だけでなく、
ダイソーのような100円ショップで売られている商品もほとんどが中国製です。
また中国をマーケットと見たときも、日本企業にとって無視できないマーケットに
なっていますし、生産拠点としても非常に重要な拠点になりました。
また、日本の中でも中国人があふれかえっています。
例えば秋葉原の電気ショップに行くと、店員さんも中国人なら、
高級家電を買っている客も中国人・・・
しかし、だからこそ今中国との関係を真摯に見直さなければいけないと、
私、山本は考えています。小泉前総理の評価は難しく、私は個人的には、
内政面はダメだったと考えています。
しかし、外交面では非常に高く評価しています。今回のような事件が起こると、
「今の総理が小泉さんだったらなぁ。」と考えるのは私だけでしょうか。
日銀総裁人事の行方
2008年03月06日
3月19日に日本銀行の福井俊彦総裁は任期満了を迎えます。
本来なら、もうそろそろ次の総裁が決定していなければいけないのですが、
自民党が推す武藤敏郎日銀副総裁を、民主党などの野党が反対しているので
まだ決定していない、というわけなのですね。
日本銀行の行う業務にはさまざまなものがありますが
(お金、つまり“日本銀行券”を発行するのも日銀ですよね)、
なんと言っても一番重要な仕事は、金融政策の決定、
つまり金利を決めることです。この金融政策の舵取りをする総裁の人事が
任期満了を目前にしていまだ決まっていない、ということなんです。
政府は、この総裁後任人事を誰にするかについて、民主党など野党に対して
提示するのを来週に先送りすることにしました。与党が2008年度予算案や
揮発油税などの暫定税率を延長する租税特別措置法改正案に対し、
野党が強く反発していることを考慮した結果です。
これは、「予算は通してください。総裁人事も(あなたがたが反対している)
武藤さんでお願いします。」では野党が納得しないだろう、
と考えてのことだったんですね。
日銀総裁の人事は、“同意人事”といって、内閣が国会の同意を
得て始めて任命できる人事なのです。つまり、人事の流れを図示すると
次期総裁候補の人選⇒衆参両議院の同意⇒内閣による任命となります。
だから、衆議院と参議院の両院の同意がないと決定できないのです。
ハイ!今参議院は野党が多数のねじれ国会ですよね。
しかも人事案は法律案ではないので、参議院で否決されたときは
衆議院の再可決の案件にはなりませんし、また法律案のように
衆議院の優越はないのです。つまり、参議院で否決されたら、
「ハイ!それまでよ~」ということになるのです。
でも考えてみてください。3月19日になれば現在の福井総裁と武藤副総裁は
任期満了になり、後任人事が決まっていなければ、総裁空席の可能性もあるのです。
サブプライム問題などで経済状況が悪化して行く中、
日本の中央銀行総裁が空席でいいのでしょうか。国会議員の方は、
日本経済のことをしっかりと考えて、この総裁人事に取り組んで欲しいものですよね。
英銀行がサブプライムローン問題で国有化!
2008年03月06日
英政府は2月17日、サブプライムローン問題の影響で経営難に陥っている中堅銀行のノーザン・ロックを
一時的に国有化すると発表しました。サブプライム問題で銀行が国有化されるというのは初めてのこと、いよいよこの問題も第2ステージに突入していくのかと思わせる出来事でした。
ノーザン・ロック救済をめぐっては、ヴァージン・グループ率いる企業連合とノーザン自体の経営陣の2グループが買収入札に名乗りを上げていました。
しかし、英政府は「買収条件がいずれも不十分」として、好条件提示を要請しましたが満足な回答が得られなかったので、国有化を決めた、ということです。
ここで思い出されるのが日本長期信用銀行(現・新生銀行)です。日本長期信用銀行は1998年10月経営破たんした長銀は国有化され、その後2000年3月にアメリカの企業再生ファンド リップルウッドや外国銀行らから成る投資組合「ニューLTCBパートナーズ」に売却され、同年6月に「新生銀行」として生まれ変わりました。
この売却のときに問題になったのが、「瑕疵担保条項」です。瑕疵担保条項とは、国有化された旧日本長期信用銀行を売却する際に、預金保険機構と買主(リップルウッドや外国銀行らから成る投資組合「ニューLTCBパートナーズ」)との間で交わした契約事項ですが、その内容は「譲渡から3年以内に、当初の正常債権の判定に瑕疵が生じ、簿価より2割以上目減りした債権は預金保険機構に買い取らせることができる。」というものです。
「瑕疵」というのは、「キズ」というような意味で、「瑕疵担保」というのは民法570条に定められている規定で、“買った物に、買主が予想できない隠れた欠陥があった場合には、買主は売主に契約解除や損害賠償を請求することができる」規定です。
だから、旧長銀売却時の瑕疵担保条項というのは、「旧長銀を買ってから3年以内に、中小企業などに融資している貸付金に問題が出て20%以上評価損が発生したら、ウチは知らないから、預金保険機構さん、あとはお願いね~」という、買い手にとってチョー都合のいい契約だったのです。
この特約はのせいで、融資先を再建するよりも、破綻させて預金保険機構に買い取らせた方が有利だということで、旧長銀を引き継いだ新生銀行はこの特約を活用し、いわゆる「貸し剥がし」をどんどんして、日本中をさらなる不況へと陥れたものでした。
しかも、旧長銀をリップルウッドグループへ売却した時の売却額が、国有化に要した公的資金額に比べて極端に低い価額(投入公的資金4兆円に対し売却額10億円といわれています。)
瑕疵担保特約が終了するまでの3年間で、預金保険機構に買い取らせた不良資産は、新321社 1兆1,702億円にものぼり、「日本政府の大チョンボだ~」といわれました。
さて、このノーザン・ロックの国有化は今後どのようになるのか、旧長銀のときの日本政府の対応と比べながら見ていきたいですね。
消費者物価指数 “値上げ”がやってきた!
2008年02月22日
昨年の秋ごろから、われわれの日常生活での必需品が「値上げ」の猛襲を受けています。
全国の一般消費者世帯が購入する商品とサービスの総合的な価格の動きをわかりやすくした数値を
「消費者物価指数」といいますが、この消費者物価指数が、2007年10月から3ヶ月連続で前年比プラス、ことに12月は2006年12月に比べて0.8%もプラスでした。
簡単に言うと2007年12月に買ったものの価格は、2006年12月に買ったものに比べて0.8%も高かった、ということなのですね。(1,000円のものが1,008円に!)
消費者物価指数というのは、基準年の物価を100として物価の動きを表したものです。
物価指数が200になるということは、物価が2倍になったということなのです。
基準年は5年ごとに改定され、指数に使われる商品も選び直します。直前の基準年は2005年で、商品やサービスには584品目が選ばれています2007年12月の消費者物価指数は「100.9」でしたので、2005年に比べて、0.9%上がったということなのです。
一般的に、景気がよくなると物価が上がり、景気が悪くなると物価が下がるという傾向があるのですが、今回の物価上昇は景気によるものというよりも、むしろ原油、穀物などの原材料や、石油化学製品、木材などの世界的な高騰によるものです。好景気を伴わない物価の上昇は、われわれの家計を直撃しますので、今後消費者物価指数とそれをコントロールする日本銀行の政策に要注目です。
サブプライムローン問題を考える
2008年02月08日
米国のサブプライムローン問題に絡んで、“モノライン”と呼ばれる
金融保証専門会社の経営問題に注目が集まっています。
この“モノライン”、有価証券の発行者から保証料を受け取り、
債務不履行(デフォルト)の際に元利払いを肩代わりする保険会社の一種なのです。
保証は金融商品に限定しているため、モノライン(=「単一の事業(業務)」)
と呼ばれています。
(これに対して、複数の保険を扱う一般の保険会社を“マルチライン”といいます。)
1970年代に誕生し、もともとは地方債(州債)の保証が中心でしたが、
1980年代に証券化商品まで保証対象を広げました。モノラインの保証が
つくことで債券の信用度が増し、発行企業などの資金調達が容易になります。
ちなみに、米地方債の約50%、証券化商品の約20%の保証を
手掛けているといわれています。
モノラインの経営問題に注目が集まっている理由は、モノラインが、
サブプライムローンをまとめた証券化商品も保証対象にしていたからです。
このことを図示すると、下のようになります。
融資専門会社は、複数のサブプライムローン債権をまとめて証券とし
(①、これを「証券化」といいます。)、それを投資家に販売していました(②)。
証券を購入した投資家は、ローンの元利金を受け取る権利を持ちますが、
ローンの返済が滞った場合には損失を負担することになります。
サブプライムローンの証券化によって、融資専門会社はローンに伴うリスクを
投資家に移すことができ、投資家は資金の新たな運用先を確保できることになります。
このように融資専門会社と投資家の双方にメリットがあるため、
サブプライムローンの証券化は急速に拡大していきました。
サブプライムローンは本来信用力が低いはずなのですが、
高格付けのモノラインが保証していた(③)ため、この証券の格付けもぐ~んと上がり、
さらに市場が活性化してきた、というわけだったのです。
ちなみにサブプライムローンの約60%以上が証券化されていたといわれています。
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