物価の上昇とは?
物の値段や、いろいろな商品・サービスの平均的な価格のことを「物価」といいます。
「去年と比べて今年は物の値段が上昇したな~」などと感じた場合には、
「物価が上昇した」という言い方をしますね。
なお、どんな場面であれ、物価が上昇したという事実を指して「インフレ」というような
表現をすることがありますが、正確には、インフレ(インフレーション)とは、
「継続的な一般物価水準の上昇」をいいます。
一年くらい、たまたま物価水準が上がったからといって、厳密には「インフレ」とは
言わないのですね。
インフレは物の値段が継続的に上昇することですから、昔100円で変えたものが、
今は100円では買えなくなり、110円とか120円とか、より多くのお金を
必要とする状態なので、私たち消費者にとっては、賃金が同じくらいの比率で
上昇してくれないと、困ってしまいますよね。
さて、ここで、インフレが起きやすい原因について、ざっくりと考えてみましょう。
たとえば、国の金融政策(金利や貨幣の供給量を調整したりして、
自国貨幣の信用を維持するための経済政策)を行う日本銀行が、
お札を大量に印刷し、市場でたくさん流通させたとしましょう。
貨幣(現金と一定の預金の合計)の流通量を「マネーサプライ」というのですが、
このマネーサプライが増えれば、それだけ人々は多くの現金を持つことになります。
ここからは、人情として考えてみればわかるのですが、財布の中にいつも5千円しか
入っていなかったときよりも、財布の中に5万円入っているときの方が、
気分がよくなって、なにかのきっかけですぐにものを買いたくなりますよね。
つまり、人は、「たくさんのお金を持つと、使いたくなる」のです(笑)。
お金を使って物を買いたくなる欲求のことを、需要というのですね。
需要が増える、ということは、モノを買いたくなる欲求が膨らんでいる、
ということに等しいのです。
言われてみればあたりまえなのですが、その「あたりまえ」が、経済を考える上では、
非常に重要になってきます。
需要が増大し、ものを買うという行為(消費行為。または、企業が設備や在庫を
購入する場合は投資行為。)が活発になれは、それにより企業の売上が増えますので、
景気は良くなります。
景気は、GDP(国内総生産)という指標ではかることができるのでした。
なお、需要が増えるということは、「ある財・サービスの買い手が増える」
ということなので、その財・サービス(商品ですね)は、高くても売れるように
なるので、値段が上がってきます。
つまり、「需要が増え、買い手の数が増えたら、物の値段は高くなる。」ということです。
それでは、ここまでのひとつの経済パターンをおさらいしましょう。
貨幣供給量が増える → 需要が高まる → 景気が良くなる → 物価が上がる
※その時々の事情によって、このシナリオどおりに行かないこともあります。
このように、人々の「物が買いたい!」という欲求(=需要)が高まることによって、
景気に引っ張られるようにして物価が継続的に上昇していく現象を、
「ディマンド・ブル・インフレーション」といいます。
ディマンド(Demand)は、需要の意味です。
このような形のインフレは、まだ、景気が上向いていることの副次効果として生じるので、
どちらかというと「良いインフレ」のように表現されることがあります。
なお、需要を引き金とするインフレのほか、コストアップを原因としてインフレが
起きることもあります。
企業の立場でいうと、原材料や賃金や燃料費が高騰すると、生産コストが増大するので、
やがてはその負担を販売価格に転嫁(てんか=移しかえること)しなければ、
存続できなくなってしまいますね。
企業側(商品・サービスの供給側)のコストアップが原因でインフレが発生するので、
このような場合のインフレをコスト・プッシュ・インフレーションといいます。
1973年のオイルショックや、最近の資源高など、輸入品が高騰したことを原因とする
コスト・プッシュ型のインフレーションを、特に「輸入インフレーション」と
呼ぶこともあります。コスト高が原因となるインフレは、必ずしも好景気を
伴うわけではないので、時として悪いインフレとも言われています。
・発生原因によるインフレの分類
1)ディマンド・プル・インフレーション…需要増加によるインフレ
2)コスト・プッシュ・インフレーション…原価高騰によるインフレ
さて、経済が発展過程にある場合、インフレも軽いものならば、むしろ好景気を
背景に投資を促進することがあります。
また、同じ販売量でも、物価が上がればこれまで以上のお金が入りますが、一方で、
返済するべき借金の額はインフレであろうと従来のままなので、借入れ負担は
実質的に軽くなり、事業を拡大したい債務者側にとって有利な面があります。
したがって、たとえば2%程度のゆるやかなインフレを政策目標にする、
という金融政策のやり方もあるのですね(インフレ・ターゲット論)。
イギリスなどが、インフレ・ターゲット政策の典型例といえます。
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