ゴールデンウィークは、税金について考えよう!
ガソリン税の暫定税率を元に戻す改正租税特別措置法などが4月30日再可決し、
成立しました。今回の混乱、われわれ国民にとっては、ガソリン代が
下がったり上がったりと迷惑以外のナニモノでもなかったわけですが、
税金のことを考えるきっかけになったという意味ではよかったのかなとも
思います。
特にサラリーマンの人にとっての税金は、毎月給料から天引きをされて年
末調整で精算されて、ハイおしまい!ってカンジなので、ほとんど関心を
持つことなく過ごしている人が多いのではないでしょうか。
ということで今回は、サラリーマンの税金について、その歴史的背景を
見ていきましょう。
サラリーマンが給料から天引きされている税金を源泉所得税といい、
給料から天引きする制度を源泉徴収制度といいます。
この源泉徴収制度は外国にもありますが、サラリーマンは年末調整で
税金の課税関係を完結させて、確定申告をしなくてよい!というのは
日本だけの制度なのです。
(私、山本も世界中すべての国の税制を知っているわけではないのですが、
少なくとも主要国の中では日本だけの制度なのです。)
それではこの源泉徴収制度がいつできたかを見ていきましょう。
日本に近代的な税制が誕生したのは1887年(明治20年)のことです。
このとき初めて所得税ができました。それまでは、土地や家屋に対して
課税する地租税や家屋税が税制の中心だったのです。
(学校で“地租改革”とか習いましたよね。)
ちなみにこの所得税、最初のころは高額所得者のみを対象とした
富裕税のようなものであり、対象者は日本中でわずか12万人、最高税率も
たったの3%でした。
そして1899年(明治32年)に源泉徴収制度が生まれました。
しかしこのときは、給料は源泉徴収の対象となっていなくて、
預金の利息だけ対象だったのです。
給料が源泉徴収の対象になったのは1940年(昭和15年)のことです。
これは、日中戦争の戦費を調達する目的で戦時増税として創られた
制度だったのです。
この制度は、ナチス・ドイツの影響を大きく受けて創られました。
だからサラリーマンの人におなじみの給料の源泉徴収は、戦費調達の
ための時限立法であり、戦争が終わったら本当はやめなければいけない、
今回のガソリン税と同様の“暫定的な”制度だったのです。
ちなみに制度がスタートした当初は中堅以上のサラリーマンが対象で、
対象者も日本中で400万人程度でしたが、対象となるサラリーマンが徐々に
拡大し、戦争末期の1944年(昭和19年)には、新人サラリーマン以外の
ほとんどのサラリーマンが対象になり、対象者も1,200万人を超えるほどに
なりました。
その後日本は戦争に負けて終戦を迎えました。本来であればもう戦争は
しないのだから戦時増税は廃止にしなければいけないですよね。
ところが大蔵省はせっかく手に入れた“確実に税金を払ってもらえるシステム”
を手放しませんでした。
それどころか1947年(昭和22年)に、確定申告をせずに源泉徴収だけで
課税関係が完結する画期的なシステムを発明しました。
それが世界でも例を見ない「年末調整制度」だったのです。
年末調整制度は、サラリーマンから確実に税金を徴収するための
システムとしてフル稼働しました。それでもこの制度の導入当初は、
サラリーマンに確定申告をする道が残されていました。
初期のころは“生命保険料控除”や“地震保険料控除”などは確定申告を
しなければならなかったのですが、その後年末調整でできるようになり、
確定申告をするサラリーマンはほとんどいなくなりました。
このような歴史を経て、サラリーマンは確定申告と縁がなくなり、
いつのころからか税金についてはまったく無関心の、国家からすればきわめて
優秀な“納税マシーン”になってしまったのです。
税金を払っているという意識がなくなると、どう使われているかにも
関心がなくなってきます。
今回の暫定税率のような問題が起こると、そのときだけは税金に関心を
持ちますが、少したつと再び関心がなくなります。
私、山本は、サラリーマンも、自分の年収だけでなく自分の納税額も
すぐに言えるようであって欲しいと思っています。
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