基礎年金の「税方式」って何?
経団連は5月14日、基礎年金を社会保険方式から全額を消費税でまかなう「全額税方
式」への移行を柱とする社会保障改革に関する提言の中間取りまとめを発表しました。
今年の秋にも具体的な消費税率などを盛り込んだ最終提言をまとめる方針とのことです。
この提言の中で、少子高齢化や年金未納問題で現行の社会保障制度が危機的状況にある
と指摘し、「基礎年金の税方式化は有力な選択肢」として、社会保障制度の抜本改革を
訴えています。今年の秋には、間違いなく消費税増税の議論がでてきますが、その議論
をするにあたり、消費税で社会保障費を賄う方向の明確化を求めたものです。
経団連は、少子高齢化の進展や制度への不信の高まりなどから、現行の世代間扶養のシ
ステムを持続いていくことは難しいと指摘しています。そこで基礎年金の全額税方式へ
の移行を提言しているわけですが、この「税方式」っていったいどんなものなのでしょ
うか。
現在、私たちの基礎年金(国民年金)は、財源の約3分の2が私たちの支払った保険料、
残る約3分の1が税でまかなわれています(平成21年度、つまり来年度から、税の部分が
3分の1から2分の1に引き上げられます)。このように、保険料を徴収する現行の方式を
「社会保険方式」と呼んでいます。
これに対して「税方式」とは、税の割合を100%にして、基礎年金分の保険料を徴収し
ない方式のことです。ちなみに、カナダやニュージーランドなどが公的年金に税方式を
採用しています。
税方式にはいくつかのメリットがあります。
現在の基礎年金は、職業によって保険料が異なっています。自営業者などの保険料は所
得にかかわりなく一律月14,410円なのに対し、サラリーマンは年収の14.996%(本人と
勤務先で2分の1ずつ負担しています)の厚生年金保険料の中から、約5%分が基礎年金
に回されています。税方式にすればこのような職業に基づく不公平がなくなります。
また、税法式にすれば、自営業者のうちの40%近くが保険料を払っていない問題も解決
します。
現行制度では、サラリーマンの妻が専業主婦の場合には、保険料を納めなくても老後に
基礎年金を受け取ることができます。これに対して働いている女性は保険料を納めてい
ます。税法式になればこのような不公平もなくなります。
そして最大のメリットは、要らない役所No.1の社会保険庁も、保険料を徴収する必
要がなくなるので、解体することができるのです。
これに対してデメリットは、税方式の財源を消費税にすれば、高齢者も負担することに
なることです。
来年度からは、税の部分が3分の1から2分の1に引き上げられますが、この部分の財源を
確保できるめどがまだ立っていません。ということは、必然的に消費税を増税し、その
増税分でまかなおうという議論が、秋には間違いなく出てきます。
私たちは、この引き上げ分についてのみ消費税の増税を認めるのか、あるいは他の税に
より引き上げ分をまかなうのか、はたまた税方式に移行して、基礎年金の全額を消費税
でまかなうのかの選択をしなければなりません。
この秋は、基礎年金と消費税で国会が揺れそうです。
(6/10 会員制CDセミナー では
「税方式」に対する厚生労働省の笑える反論!?)
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