大手電機10社が設備投資を3.5兆円に増加
2008年08月26日
「大手電機10社が設備投資を3.5兆円に増加(日経2008.5.16*9)」
東芝や松下など、大手の電機メーカー10社が、前年度比で2.7%
ほど設備投資を増額し、合計で3.5兆円にものぼる見通しだそうです。
このときの日経新聞の報道では、東芝6560億円、松下5300億円、
日立5000億円、キャノン4400億円、ソニー4300億円などとなっています。
1000億円クラスの投資というのは、庶民の感覚では想像も付きませんが、
工場が1個や2個、余裕で作れてしまう規模ですね。
たとえば、松下はプラズマに続き液晶パネルの自社生産を始めることで、
3000億円規模の液晶パネル工場を今年の夏に着工するなど、本業で強み
のある分野に大型集中投資する傾向にあるようです。
「様々な分野に広く浅く」ではなく、「自社の自信のあるところに狭く深く」
が最近の事業投資のキーワードとなりますね。
なお、連結業績との関係では、東芝がHD-DVD事業の撤退で前期比7%の
最終減益(1274億円)、日立が薄型テレビ事業のリストラ費用などで
581億円の最終赤字と2期連続最終赤字であるにもかかわらず、
競争力強化のための高額投資に走らざるを得ない状況です。
いっぽうで、平成20年3月期に最終利益で2.9倍もの増益を
記録したソニーや、システム構築・運営事業で利益を上げている
NECなどは、好業績を背景に積極投資を推し進めています。
大型投資をする、ということは、バランスシート上、
「現金預金のキャッシュが減って、その分固定設備が増える」
ことを意味します。さらにいうと、キャッシュフローのマイナス要因
であるだけでなく、その後、何十億円、何百億円もの減価償却費の
負担上昇による営業利益の圧迫も予想されます。
今後、これらの大型設備投資が、各社でどれだけ効果を挙げるか注目です。
(6/10 会員制CDセミナー では 「設備投資のキャッシュフローへの影響と損益計算への影響」)
PRIDEの外国人選手が、ファイトマネーの消費税申告漏れ
2008年08月08日
総合格闘技のイベント旧PRIDEに出場した5人の外国人選手が、
税務調査で2004年からの3年間にわたるファイトマネーに関連して、
消費税の申告をしなかったとして、合計約2000万円以上の追徴課税を
受けたそうです。
このときの報道では、具体的な選手名も出ていました。
ミルコ・クロコップ、ヴァンダレイ・シウバ、ノゲイラ、マーク・ハント
などだそうです。
格闘技ネタ音痴の私でさえ、どの選手も一度はテレビで見たことが
あるので、びっくりですね~。
ちなみに、消費税は国税4%、地方税1%の計5%です。
なお、国税通則によると、無申告加算税は15%(場合によっては
5%などのこともある)です。
消費税というのは、次のような取引をした場合に課税されます。
1.課税資産の譲渡等
国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、
資産の貸付及び役務の提供(資産の譲渡等)のうち、非課税とされるもの以外。
2.みなし譲渡の規定
(1)個人事業者が行った棚卸資産または事業用資産の家事消費または家事使用
(2)法人が行った役員に対する資産の贈与
3.輸入取引
※非課税となる資産の譲渡等(例示)
・土地の譲渡及び貸し付け
・有価証券その他これに類するものなどの譲渡
・貸付金及び預金の利子、保険料
・郵便切手類、印紙、プリペイドカードなどの譲渡
このように、国内で棚卸資産の販売や役務(サービス)の提供などを行ったら、
基本的には消費税の課税対象になります。
そこで、ミルコやマーク・ハントのように、日本で役務の提供
(リングに上がってファイトすることですね)をすれば、それは国内取引に
あたるわけです。
そして、今年の消費税が問題になるならば、基準年度(今から2年前)
の課税売上高が1000万円を超えるの場合は課税事業者となります。
2年前の課税売上が1000万円以下の時は小規模免税業者として、
今年の消費税の納税は免除されますね。
ということは、ミルコやマーク・ハントなどは、2年前にも日本で
1000万円以上を稼いでいたため、最近の所得に対して、
消費税を課税されることになった、というわけなんですね~。
外国人が日本に来て講演とか試合とかコンサートなどをして
がっつり稼いだ場合、2年後にまた日本で稼いだときに消費税を取られる
ことがある、ということを教えてくれた、非常に興味深い記事でした。
もしかして、プロ野球選手の外国人助っ人や、あのJリーガーの
外国人たちだって、注意しないと、「消費税で無申告課税!」
なんてことがあるかもしれません。
サブプライム関連損失は、決算書にどう反映されるのか?
2008年08月08日
2007年からはじまったサブプライムショックは、
多くの金融機関の業績に深いダメージを与えたばかりか、
世界規模の景気減退のきっかけともなりかねない非常事態へと
つながる懸念が高まってきました。
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)
の不良債権化で、住宅ローンを担保とした証券化商品(RMBS)
の価格下落を引き起こし、この証券を購入した銀行などが、
評価損を計上するといった事態におちいっています。
サブプライムローンに関しましては、近年の金融商品の高度化
が、その損害の膨張におおきくかかわってきています。
ここで、サブプライムローンの焦げ付きに関連して、
企業の業績上、損益計算書のどのような科目に
影響があるのか、をいっしょに考えてみましょう。
まずは、サブプライムローンの証券化商品を直接保有している
場合には、保有目的にもよりますが、有価証券の評価損を
計上する可能性があります。
つぎに、アメリカの住宅ローン会社に対して、貸付金や
売上債権などの金銭債権を持っている場合には、
アメリカ住宅ローン会社の経営状態の悪化に伴い、
貸倒引当金を積み増す必要が出てきます。
簿記処理上は、次のような仕訳になります。
(借方)貸倒引当金繰入額×× (貸方)貸倒引当金××
=========
(参考)簿記の入門知識を4時間でマスターできるDVD講座
財務チャート式簿記マスター講座
⇒ http://bokikaikei.net/2006/06/post_36.html
=========
さらに、退職金制度の一環として、外部の年金基金に
掛け金を支払い、退職金の財源を年金資産の形で
外部に積み立てている場合が多くみられますが、
この場合、年金基金では、預った年金資産を株式等の
証券投資をしているケースが大部分ですので、当然、
これらの証券がサブプライム問題の影響で時価下落という
事態に見舞われれば、従業員の退職時に支払うべき
退職給付債務に対し、年金資産が目減りし、不足額が
拡大する、などという事態も当然考えられます。
そうなれば、損益計算書における製造原価(工業)または
販売費及び一般管理費(商業・工業)の区分内で、
「退職給付費用」という費用科目が増加します。
このように考えると、サブプライム関連の損失が、
少なくとも「有価証券評価損」、「貸倒引当金繰入額」、
および「退職給付費用」の3箇所で、費用増加となる
可能性が高いのだ、ということがわかりますね。
※サブプライム関連損失の、損益計算書への影響例
損益計算書
――――――――――――――
売上高 ×××
売上原価 ××× ←退職給付費用
販売費及び一般管理費××× ←退職給付費用および
営業利益 ××× 貸倒引当金繰入額
営業外収益 ×××
営業外費用 ××× ←有価証券評価損
:
企業結合会計と、研究開発費部分の費用処理
2008年06月13日
まずは、企業結合という取引についての定義です。
「ある企業が
1つもしくは2つ以上の他の会社を合併もしくは営業の譲受をするか、
またはある企業が他の企業の純資産および営業に対する支配を獲得
することによって、
個々の企業を単一の経済的実体に統合することである。」
(財務会計 広瀬義州著 中央経済社P585より)
このように、ある企業が、他の企業等を吸収するか支配するかに
よって、一つの企業グループにまとめることを、企業結合というのです。
そして、このような企業結合取引について、包括的に会計処理の
ルールを規定したものが、「企業結合会計」なのですね。
企業結合会計の守備範囲は、合併や連結に及びます。
そして、その中で一番重要なのは、「パーチェス法」という会計処理方法です。
パーチェス法とは、いっぽうの会社が、他方の会社を時価で評価し、
買収することを想定した合併などの会計処理法です。
消滅会社(合併される会社等)の純資産(資産-負債)は、
時価ベースで評価されます。
この消滅会社の時価純資産が、買い受ける消滅会社の現時点に
おける事業価値なのですが、それに加え、見えないノウハウなど
の無形価値を評価し、さらに割り増しで買収対価を支払う場合などは、
その「支払対価-消滅会社の純資産」の残高は、のれんとして処理されます。
※計算例:A社は、B社(諸資産700万円、諸負債400万円)を買収し、
現金350万円を支払った。
買収前のA社B/S 買収前のB社B/S
――――――――――― 買収! ―――――――――――
現 金 800|資本金 800 ←←←←← 諸資産 700|諸負債 400
| 純資産300 |純資産 300
――| ―― ――| ――
計 800| 計 800 計 700| 計 700
==| == ==| ==
→→→→→→→ ●
↓ 現金▲350をB社 ▲
↓ の所有者に支払
買収後のA社B/S
―――――――――――
現 金 450|諸負債 400
諸資産 700|資本金 800
のれん 50| ※のれん:買収対価350-純資産300
――| ――
計 1200| 計 1200
==| ==
と、このように、買収で支払った代金の方が、受け入れた純資産よりも
多い額は、割り増し部分ということで、「のれん」として処理されるのが
原則です。
ただし、次のエーザイのケースのように、その超過支払部分の中に、
消滅企業の研究開発費部分がある場合、それは本来費用処理される
ので、超過支払部分のうち研究開発費に相当する額は、支出時の費用
となります(企業結合に係る会計基準三2(3))。
以上、企業結合会計は、M&A時代の今となっては、非常に重要な
会計ルールなので、この機会に、本メルマガの内容だけでも、
知っておきたいところですね。
■参考■企業結合など、新しい会計基準の解説CD
中級現代会計→ http://bokikaikei.net/2007/01/post_319.html
原料・燃料価格の高騰が、業績を圧迫する
2008年05月14日
企業の業績をチェックするには、損益計算書(Profit & Loss statement;P/L)
を見る必要がありますね。
損益計算書は、上から順に、
売上高
- 売上原価
- 販売費及び一般管理費
+(営業外収益-営業外費用)
+(特別利益-特別損失)
- 法人税等
――――――――――――――
当期純利益
==============
のように表示され、最後に残った金額が、会社が一年(または一ヵ月、三ヵ月、半年)
で稼いだ最終利益(当期純利益)となりますね。
ここで、業種の特性を考えないならば、売上高を100として、おおむね、
次のような数字の比率がスタンダードになるとご理解いただければいいでしょう。
100 売上高
- 70 売上原価(材料費+労務費+経費)
―――
( 30)売上総利益(※1)
- 25 販売費及び一般管理費
―――
( 5)営業利益 (※2)
+ 0 (営業外収益-営業外費用)
―――
( 5)経常利益 (※3)
+ 0 (特別利益-特別損失)
―――
( 5)税引き前当期純利益(※4)
- 2 法人税等
――――――――――――――
3 当期純利益(※5)…配当の財源になる!
==============
なお、昨今の資源高などで、製造業におけるコストがあがってきている、
とよく言われますが、それは、上記で言うところの「売上原価70」の要素に
影響する場面なのです。
製造業では、売上原価の中身を、工場でかかる次の3つから構成されると考えます。
「材料費」「労務費」「その他の経費」
労務費は、人件費のことですね。
したがって、一般に、コスト管理をする場合には、これら原価の3要素のどれが、
現在最も利益を圧迫する要因になっており、どこが金額が多額で、最初に削減すべき
ポイントなのかを、しっかりと確認して原価管理しなければなりません。
なお、日経新聞2008年4月12日1面では、2008年3月の決算につき、原料または
燃料の高騰で、王子製紙では経常利益が4割減少し、旭化成では増益を
見込んでいたが横ばいにとどまる、という見通しが報じられています。
ほかにも、製紙大手、化学大手や他の業種にも、売上原価の重要な要素となる
原料費の価格上昇が、売上総利益以下を圧迫する可能性が指摘されています。
今後、売上原価の上昇幅に、注目してみてください。
電子マネーと決算書表示の関係
2008年04月28日
さいきん、いろいろな形で出回るようになった電子マネー、もしも企業でこれを
利用することになったら、どんな形で決算書に表示されるのでしょうか。
そもそも、電子マネーに関しては、特に明確な定義があるわけではなく、
事前に入金して利用するプリペイド型のものを電子マネーと呼ぶケースが多いようです。
では、今回は、このプリペイド型の電子マネーについて、事例をもとに、
決算書表示の流れを見ていきましょう!
(例)3万円を現金でチャージした場合。
バランスシート
―――――――――――――――
現金預金 △3|
: |
前払金 +3|
: |
―――| ―――
計 ±0| 計 ±0
===| ===
このように、バランスシートの右側(負債・純資産)では、まったく変化がなく、
左側で現金が減少し、同額だけ前払金という別の資産項目が増加するのみです。
ちなみに、前払金というのは、「先にお金を払ったので、あとで、何らかのサービスを
要求できる権利」という意味の勘定科目ですね。
後日、このチャージした前金のうち1万円分を使用し、交通機関を利用した場合は、
次のような財務諸表の変化になります。
バランスシート 損益計算書
――――――――――――――― ―――――――――――
現金預金 △3| 売 上 高 ×××
: | :
前払金 +2|繰越利益 △1←・ 交 通 費 △ 1
: |剰余金 ↑ :
―――| ――― ↑ ―――
計 △1| 計 △1 ・←当期純利益 △ 1
===| === ===
このように、チャージした前金の額が減ったときに、損益計算書の業績に反映される
ことになるのですね。
お金を前金として支払ったときには、「○○費」といった費用は発生せず、
「前払金」という、一種の権利をあらわす勘定科目でバランスシート表示し、
じっさいにチャージした金額を「消費した時点」で、はじめて○○費という費用が
発生するのですね。
現金の支払い時点とは関係なく、「消費があった時点」で費用を認識(=帳簿に記録)する
という考え方を、「発生主義の原則」といいます。
この機会に、しっかりと覚えておきましょう!
有価証券の含み益の処理・表示
2008年04月21日
有価証券は、譲渡可能で配当や利子などの分配を受けることができる金融商品です。
具体的には、株式、公社債(国債、地方債)などがあります。
ご存知のように、東京証券取引所に上場している株式などは、毎日、市場で売買され、時価が更新されます。
世の中に数ある資産の中で、もっとも時価に関する情報が豊富かつ客観的で、非常に流動性(=換金性)の高いものが有価証券であるといえるでしょう。
このように、取引市場が発達しているために時価情報が誰でも確認でき、換金性の高い有価証券にあっては、「棚卸資産や建物・土地などの事業用資産」(=原価法)とはことなった期末評価の方法をとります。
有価証券の決算日時点におけるバランスシート上の評価方法は「時価法」が原則です。
特に、短期的に売買して時価の変動による利益をえることを投資目的としている株式などは、「売買目的有価証券」といって、時価で評価し、原価と時価の評価差額は損益計算書の「営業外収益または営業外費用」という区分で表示されます。
バランスシート 損益計算書
――――――――――――――― ――――――――――
(資産の部)| 売 上 高 ×××
有価証券+10|(純資産の部) :
| :
|利益 +10 ←← 営業外収益 +10
このように、社内において、売買目的有価証券という分類で取り扱われている有価証券は、期末時点で時価評価し、原価と時価の差額は、有価証券評価損益として業績(損益計算書)に反映され、損益計算書を通じて、バランスシート(貸借対照表)の右側(貸方)の利益剰余金(ここでは、スペースの都合上、「利益」と表示しています)のプラスにつながります。
つぎに、売買目的以外で所有している株式で、子会社株式・関連会社株式でないものは、その他の有価証券という分類で取り扱われ、その有価証券に時価があるならば、やはり時価で評価されます。
ただし、その他有価証券の場合、おもに経営安定化のための「相互持合い株」などのような、事業戦略上の所有であるため、あまり売却して利益を稼ぐようなイメージがありません。
したがって、その他有価証券の時価評価差額は業績(損益計算書)には反映させず、バランスシートの右側に直接表示します。
そのときの表示科目は、「その他有価証券評価差額金」といいます。
純資産の区分にあります。
バランスシート 損益計算書
――――――――――――――― ――――――――――
(資産の部)| 売 上 高 ×××
|(純資産の部) :
投資 | :
有価証券+20|利益 - 営業外収益 -
| :
|評価差額金+20
| :
以上のように、時価評価された有価証券の評価差額は、バランスシート右側に表示され、利益になるのか、評価差額金になるのかは、有価証券の保有目的によって異なる、ということがお分かりいただければよろしいかと思います。
自己株式の基礎知識と会計処理
2008年04月04日
自己株式の取得とは、以前発行した自社の株式を買い戻すことです。
もちろん、この自己株式、市場で再度売却処分することもできます。
事例で、自己株式の取得に伴うバランスシートの動きを
みていきましょう。
(取引1)A社は、会社設立時に1000株(単価5万円)を発行し、
同額の払い込みを受けた。
バランスシート1
―――――――――――――――――――
現金預金 5000万円|資 本 金 5000万円
|
(取引2)一年間で、3000万円の利益を得た。資産は
すべて現金預金で残った。
バランスシート2
―――――――――――――――――――
現金預金 8000万円|資 本 金 5000万円
|利益剰余金3000万円
(取引3)一年後、A社は、自社の発行済み株式の10%(100株)
を、時価9万円(1株あたり)で現金購入した。
バランスシート3
―――――――――――――――――――
現金預金 7100万円|資 本 金 5000万円
|利益剰余金 3000万円
|自己株式 △ 900万円
――――| ――――
計 7100万円| 計 7100万円
====| ====
以上のように、自己株式を購入すると、
「バランスシートの右下、純資産の部の控除科目として」
表示されます。 バランスシートの総合計を減少させる
項目になるのですね。
けっきょく、この場合、「自社株を取得することは、
以前に受け入れた出資の払い戻しと実質的に同じである」
という思想が根本にあるわけなのです。
自己株式の取得は、平成13年の商法改正で解禁されました。
それ以前は、株主平等の原則に反するとか、株価操作の
手段が合法化されるとかの理由で、基本的に
禁止されていたのですね。
自社の株式が安くなったときに、買収の防衛策として
自己株を取得することもあります。自社株の取得は、株式の
供給量の減少につながるので、株価が上昇しやすいのですね。
以上、最近の株価低迷にともない、企業としては
重要な戦略の一つとしてまた脚光を浴びつつある自己株式
に関するお話でした。
ROEの基礎知識
2008年03月26日
ROEの基礎知識について、ひさびさに確認していきましょう。
ROE(Return On Epuity)とは?
自己資本利益率と呼ばれている財務指標であり、
当期純利益を株主の持分である自己資本で割って求めらます。
ROE=(当期純利益÷自己資本)×100%
ROEは、もとより株主にとって、「株主の取り分である自己資本を、
払い戻しを受けずに会社に預けておくことによって、
どれだけの配当財源となる利益をゲットできたか?」
をチェックする判断基準となります。
このROEは、基本的に、他の代替的な投資案件よりも高いことが目安です。
そうでなければ、ROEの低い会社から資金を引き上げ(=転売して換金し)、
他の高い利回りを期待できる投資商品に資金投下した方が、
経済合理的だからです。
つまり、ROEというのは、株主にとって、あるいは株主候補者にとって、
『その会社は、他の金融商品と比べて、有利なリターンをもたらすかどうか?』
を見極めるものさしとして使われることに意義があるのですね。
ちなみに、ざっくりと申しますと、自己資本は、バランスシートにおける
『資産』から『負債』を控除した残高をベースに、求められます。
バランスシート
―――――――――――――
資 産 | 負 債
|
|------
| 自己資本
|
―――――――――――――
より実務的には、
会社法施行後に正式な表示名称となった『純資産』の部
の合計を用いるか、『株主資本』の部の合計を用いるかで、
議論が分かれます。
時価評価や為替変動差額という、経営努力とは関係のない
純資産の増減を除外した「株主資本」の方が、理論的
だとはいわれていますが、私から見ると
「別にどっちでもいいのでは?」って感じです。
私は学者ではないので。
…あ。4月からは大学で講義を持つので、そうもいってられないかも(笑)。
それはさておき、ほとんどの会社は、そんなに影響ない
ので、ざっくりと純資産の額あたり使っていただいても
良いのではないでしょうか。
いちおう、一般的な標準値としては、5%くらいが目安ではないかと思います。
以上、ROEに関する基礎知識でした!
決算短信の基礎知識
2008年03月06日
最近、とくに投資家をはじめとするステークホルダー(利害関係者)
にとって、重要性を増した財務情報に、「決算短信」というもの
があります。
ここで、決算短信の定義について、東京証券取引所のホームページで
わかりやすく説明されているので、下記に引用してみます。
「上場会社が決算発表及び中間決算発表を行う際に、
決算内容の要点をまとめた書類の名称。
そもそも、記者クラブが、決算発表内容の標準化を
目的として上場会社に要請したことから始まり、
現在は取引所が様式を定め、全ての上場会社が作成
することになっています。
決算短信(1枚目)については、「上場会社検索」から、
通常、過去約1年分をご覧いただくことができます。」
(東京証券取引所ホームページより)
※様式・記載要領
http://www.tse.or.jp/rules/kessan/tanshin/k-yoryo/index.html
つまり、簡単に言えば、
「上場企業の決算内容を要約した速報値ニュース」と
いうわけなんですね。
決算短信では、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の
中でも、重要なポイント情報を表紙に記載します。
これを見ると、上場企業の業績、財産の状況を速攻で
見ることができるので、非常に重宝します。
参考までに、下記に松下電器の開示数値の一部を掲載します。
(事例)松下電器の決算短信(一部)
==================================================================
平成19年3月期 決算短信(米国会計基準)
平成19年4月27日
上場会社名 松下電器産業株式会社 上場取引所 東証・大証・・・
:
1.平成19年3月期の連結業績 …
(1)連結経営成績 (%表示は対前期増減率)
売 上 高 営業利益 経常利益 ・・・
百万円 %
19年3月期 9,108,170(2.4) 459,541(10.9) 439,144(18.3)・・・
18年3月期 8,894,329(2.1) 414,273(34.3) 371,312(50.4)・・・
:
(2)連結財政状態
総資産 株主資本 株主資本比率 1株当たり株主資本
百万円 百万円 % 円 銭
19年3月期 7,896,958 3,916,741 49.6 1824 89
18年3月期 7,964,640 3,787,621 47.6 1714 22
(3)連結キャッシュ・フローの状況
営業活動による 投資活動による 財務活動による ・・・
キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー
百万円 百万円 百万円
19年3月期 532,557 △567,808 △427,703 ・・・
18年3月期 575,418 407,091 △524,568 ・・・
2.配当の状況
:
3.20年3月期の連結業績予想(平成19年4月1日~平成20年3月31日)
(%表示は、通期は対前期、中間期は対前年中間期増減率)
売 上 高 営業利益 ・・・ 当期純利益 ・・・
百万円 % 百万円 % 百万円 %
中間期 4,450,000(1.4) 190,000(△8.4) 90,000(△21.8)・・・
通 期 9,250,000(1.6) 500,000( 4.7) 250,000( 15.1)・・・
==================================================================
通常の決算書で見ることができる貸借対照表・損益計算書などの
過去の実績のほかに、業績予想という会社の予想データが掲載される、
という点で、決算短信は非常に貴重な資料です。
株式投資をする方だけでなく、サービス業小売業などと関連の深い
一般消費者にとっても、役に立つ情報ですよ。
この機会に、気になる上場企業の決算短信を、
その会社のホームページの「投資家情報」または「IR情報」から
入手してみるとよいでしょう。
以上、決算短信に関する基礎知識でした。
グループ会社の経理を一括管理するメリット
2008年03月06日
製造業を例に取ると、会社の業務には、だいたい次の4つがあります。
1.製造業務 2.販売業務 3.開発業務 4.管理業務
ちなみに、サービス業、卸売業、小売業などの業種は、
上記のうち「2.販売業務 4.管理業務」の2つが主な柱です。
この中でも、製造・販売・開発といった活動は、おおむね、
いずれも企業の独自性を発揮することができる余地が多いですね。
製造業務における生産システム、設計技術などは、
会社によって違いを出すべきところで、門外不出の社外秘です。
また、販売業務における営業システム、顧客リスト、
宣伝戦略なども、その会社の個性が色濃く出ます。
研究開発などは、まさに他社との差別化をもっともしなければならないところです。
このように、製造・販売・開発などの業務は、そのコアとなる
部分の重要業務を外部委託することはできません。
しかし、管理業務は、メインが経理・人事といった、どの会社で行っても、
やることはほとんど共通している作業なので、ここについては、
外部委託が非常に多くおこなわれています。
そして、上場企業などでは、子会社が何十社もあったりして、
各子会社で経理・人事担当者と経理・人事システム投資を
行っていたりするので、経費や投資資金の重複投下が時として
経営資源を必要以上に費やしてしまうことになりかねません。
たとえば、A社を親会社として、
下記のようにB,C,Dの子会社ともども、年商100億円規模の
4つのグループ会社があったとします。
A社B/S B社B/S C社B/S D社B/S
――――――― ――――――― ――――――― ―――――――
現金8| 現金2| 現金3| 現金4|
: | : | : | : |
それぞれ、個別に決算書を持っているのですが、
各社にそれぞれ5人ずつ以上の経理担当者がいたとしましょう。
そして、A社が、子会社をそれぞれM&Aなどで買収しているので、
導入している会計システムがまったく違うものであるとしたらどうでしょう。
5社合計で、20人もの経理担当者を抱え、
それぞれの会社で違うシステムを使って決算を組んでいることになります。
(汎用の会計ソフトなら、弥生会計を使っている会社があったり、
勘定奉行を使っている会社があったりと、グループ内で処理方法が不統一、
というイメージです。)
この場合、親会社の会計方針に会計方法を統一したり、勘定科目を
整合させたりするのが、20人の経理担当者で全て意思統一を
はかる労力、およびシステム上の手直しを各社個別に行ったり
するなどの理由で、たいへん面倒となります。コストもかかります。
そこで、経理業務を一括で行う管理専門の会社を作り、そこに
7-8名程度の経理専門部隊を配置し、グループ4社の経理業務を
完全にそこに委託してしまう、ということを行えば、経理業務に
かかる人件費・システム投資維持費用・関連諸雑費がそうとう浮くはずです。
さらに、連結決算もやりやすくなり、決算がスピードアップするのは目に見えています。
このように、経理業務に代表される管理業務は、標準化しやすい
ので、グループ内でそれを専門に行う担当会社を決めるか
新設するかして、業務の一括管理を行う、という経営改革は、
その後の業務効率化、経費削減の観点からは、非常に有効ですね。
そういった意味で、次のケーススタディーで取り上げる
セブン&アイの取り組みは、注目に値すると思います。
健康会計
2008年02月22日
経産省と厚生省、「健康会計」を新設か?(日経2.5夕*1)
会計知識における貨幣的測定の公準(時事問題で楽しくマスター!2008/02/12 (火)号)
から見ると「社内の従業員の健康状態」など、まさにお金ではかれません。
たとえば、
「柴山会計ソリューションで働いている人間の健康度を貨幣で測ると…
柴山=メタボ度60点だから30万円の評価減!
山本=メタボ度90点だから45万円の特別損失!!(笑)」
な~んて、構成員の健康度合いによる企業の資産価値の増減やコストの測定など、簡単にできるものではないですよね。
(注)上記のメタボ度等の数値は、(たぶん)フィクションです。実在の人物、団体とは関係がない(はず)です。(山本さん、架空の話なので、笑ってスルーしてね)
その点、経産省and厚生労働省は、なかなか面白い試みをしてくれそうです。
2008年2月5日の日経新聞では、下記のように報じられていました。
「企業による従業員の健康管理情報の開示を進める新たな仕組み作りに乗り出す。定期健診など健康管理への投資とその効果を定量的に把握できる『健康会計』を新設。優良企業を認定する制度も作る。…」 (日経新聞2008.2.5夕刊一面より、一部引用)
このように、健康への取り組みを「投資の一種」と位置づけ、従業員に対する「予防医療」を徹底する
ことで、社会全体としても、過去最高額を更新し続けている医療費の上昇をおさえる効果が期待されています。
医療費の上昇は、中期的には、病人増加=人材不足化による医療サービスの質の低下や、社会保険料の個人負担の増大として、跳ね返ってくることが明らかです。
そういった意味では、社会経済的視点からの、企業会計制度の枠組みの変化・改善という潮流は、今後、さらに大きくなっていくように思います。
排出権って、どんな財産?
2008年02月08日
まずは、排出権取引に関する基礎知識を。
排出権取引(emission trading)
「地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などを排出する権利を
国や企業の間で売買する仕組みのこと」
(引用:やさしい日経経済用語辞典 日本経済新聞社編)
排出権取引は、「クリーン開発メカニズム(CDM)」、「共同開発(JI)」
とともに、京都メカニズムと呼ばれる温暖化ガス削減制度のひとつです。
京都メカニズムの中でも、中心的な位置にあるこの排出権取引は、
経済理論を環境対策に導入した、ある意味で画期的ともいえる
システムですね。
※排出権取引の経済学的な意味と、さらに詳細な解説については、
会員制CDセミナーで、音声解説いたします!
簡単に言うと、
各国・各企業で割り当てられたCO2の削減目標が自助努力で
達成できない場合に、削減目標を達成した国・企業から排出権を
買い取ることで、全世界の環境改善を図ろう、という仕組みです。
そこで、排出権を企業が買い取った時に、どのように会計処理を
行うか、ですが、それについては、2004年11月に、企業会計基準委員会
から、実務対応報告代15号「排出量取引きの会計処理に関する当面の
取り扱い」という指針が公表されています。
その後の改正があったりしていて、今後も流動的な部分があるかと
思いますが、そのおおまかなポイントは、以下のとおりです。
1.販売目的で排出権を取得した場合
⇒棚卸資産として処理
⇒期末評価は、取得原価。
ただし、期末時点の時価(正味売却価額)が下落した場合は
評価替え。
⇒販売時は、棚卸資産の販売として処理(売上原価と思われる)。
2.自社使用の目的で取得した場合
⇒無形固定資産、または投資その他の資産として処理
⇒期末評価は取得原価で、減価償却をしない。
⇒自社使用時は、原則として「販売費及び一般管理費」。
詳しい内容は、「時事問題で楽しくマスター!使える会計知識」でも解説しています。
→ http://www.mag2.com/m/0000133281.htm
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